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『平成26年度志民カレッジ・水俣フィールドワーク』ご報告 その3


◆明社志民カレッジ・水俣フィールドワーク研鑽報告

 

ちょうど秋の彼岸にあたる919日(金)~21日(日)、熊本県水俣市で行われた明社志民カレッジ・水俣フィールドワークに参加させて頂きました。田んぼのあぜ道や街の至る所に、彼岸花が鮮やかに咲いていました。三日間、水俣病センター相思社の葛西伸夫さんにコーディネートして頂き、初日には、水俣病歴史考証館や市立水俣病資料館、「百間排水口」をはじめとした水俣のまちを見学させて頂きました。
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  238_2二日目の大川地区「村まるごと生活博物館」では、地区代表の大川生雄さんに案内頂きました。元市職員の吉本哲郎さんの提唱で、地域の「無いものねだり」から「あるもの探し」に見方を変え、地域に元々あるものを利用してその良さを体感してもらおうという取り組みです。大川地区は水俣市の山奥にある小さな集落で、近くの市民も来たことがない地区だそうですが、この取り組みによって全国から多くの人が訪れるようになったそうです。昼食には地区のお母さん達の郷土料理で“おもてなし”してくださいました。一方で、まだまだ地元の良いところを活用できていないことや、棚田の美しい風景の陰には、少子高齢化が著しく進んだ地区の実態など、東北地域の被災地に共通する課題もあることを教えて頂きました。
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  坂本みゆきさんの講話では、ご自身が水俣出身であることを長い間言い出せなかったことや、弟さんの病気を通じて水俣病と正面から向き合うまでになった経緯などを正直な心で話して頂き、とても感慨深いお話でした。

340最終日の吉永利夫さんの講話は、水俣の課題に真っ正面から取り組み、真摯な心で課題解決にあたられている姿がとても印象的でした。「環境学習プログラム」による視察・研修の受け入れを有料で行うようになったそうですが、地域の課題を行政や他の力に頼らず、ビジネスの手法を用いて自ら持続可能なものにしていくというものでした。これも東北の被災地での今後の取り組みに、大いに参考になるものと感じました。

   
水俣と言えば誰でも、小学校や中学校の教科書で「水俣病」を学んだことがあると思います。私も今から40年程前に学びましたが、「水銀汚染によって起きた公害病」といった程度の認識だけで、それ以降深く知る機会もありませんでした。今回のフィールドワークでは、現地を見学したり、当事者のお話を聞くことで、水俣病の実態・現状を深く学ぶことが出来ました。
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 日本を代表する化学工業の会社であったチッソが、メチル水銀化合物を含んだ廃液を海に流したことによって引き起こしてしまった水俣病ですが、国・県の行政側も排水規制などの対応を怠ったことにより、水俣病の被害が拡大していきました。水俣病が発見されてから50年以上経ちますが、水俣病に苦しむ方々が未だに大勢いること、差別や風評被害が未だに解消・収束していないこと、未認定患者問題をはじめ補償に関する訴訟や市民の様々な困惑が現在も続いています。

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 大川地区に咲き誇っていた彼岸花を見たときに思い出したことがあります。私が小学校の頃、植物図鑑の彼岸花が気に入り、夏休みの宿題の絵日記にそれを模写して「近くの山で見た」と言って先生に提出したことがありました。もちろん、生まれ故郷の秋田でも夏に彼岸花は咲きません。先生から「どこで見たのか?本当か?」と問われましたが、私は嘘を通しました。お天道様はご笑覧です。私の忘れられない苦い思い出です。

 

  人は、自分や所属している組織に都合の悪いことには、簡単に嘘をついてごまかしたりします。(中には仏様のように嘘をついたことがない人もいるかも知れませんが・・・) 私もチッソや当時の行政側に所属していたとしたら、我が身を守るために同じような行動をとってしまったかもしれません。

取り返しがつかなくなる前に、過ちは直ぐに改め反省する。家庭でも、職場でも、地域でも、目の前の小さな課題に対しても“見て見ぬ振り”をせず真剣に向き合い、良いことは直ぐにとりかかる。簡単なことのようですが、「正直に生きる」ということは、心をしっかりと保っていかなければ大変難しいことだと思います。この三日間の研修で得られた貴重な体験を活かし、これからの明社の活動や被災地支援にも、しっかりとした心で取り組んでいきたいと思います。

 
                                                                        
( 明社仙台地区協議会 新井 純)