全国明社情報

明社志民カレッジ第4回研鑽報告 その1


全国明社では1012日(土)~14日(月)、熊本県水俣市で第4回明社志民カレッジの現地学習をおこないました。水俣病は教科書では習ったことはあるけれども、実際に住んでいた方々はどういうご苦労をされていたのか、いかにして再生への道を歩んだのかということを3日間ではありましたが、いろいろな方々から貴重なお話を聞くことができました。

 
  水俣病センター相思社の木下裕章さんが3日間コーディネーターとしてついてくださり、1日目は水俣病について学習しました。水俣病の原因は現在のチッソ株式会社が工業排水としてメチル水銀を含む排水を大量に水俣湾に流していたことです。それにより魚が水銀を含むようになり、その魚を食べた人たちが体内に蓄積した水銀により中毒を起こし水俣病を発症しました。
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065_2  相思社で水俣の元市長の吉井正澄さんが、市長時代にいかにして水俣を再建したかをお話くださいました。水俣再生の4つの柱として、①反省、謝罪、②環境保全都市、③地元学、④もやい直しを掲げて取り組んだそうです。水俣病の被害者の中でも、申請をして国から補助を受けた人、申請が通らず補助が受けられなかった人、家族がチッソの関係者など様々な立場の人がいました。それをまとめあげたのは、水俣市に健康センターを作る提案をしてどんなものを作って欲しいかを住民に問い、それをきっかけに色んな立場の市民が話し合いに参加したという官主導の方法でした。それぞれが尊重し合う社会づくりを、水俣市がバックアップして再生の道へと進んだとのことでした。

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   2日目は頭石(かぐめいし)の『村丸ごと博物館』を案内して頂きました。案内の勝目豊さんのお話では、少子高齢化により人口が減った村を支えるための施策として「あるもの探し」をして、村に昔からあるものを利用して観光資源や特産物にしているそうです。村では生活学芸員や環境マイスターという制度を作り、村人に自分たちの住んでいるところを案内してもらい、村の良さを旅行者などに知ってもらう試みにより、現在では熊本県のみならず様々な地域から観光に訪れるようになりました。この制度を取り入れるに当たり、村民を説得するのに「地域のボスを3人説得すればよい」とさらりと仰っていましたが、そこが一番難しく、普段からの人間関係がいかに大事かを学びました。

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 夕方には相思社理事でもあり、自身が水俣病の認定患者でもある荒木洋子さんからお話を聞く機会がありました。荒木さんは幼いころに家族と共に百聞港の近くの月浦に引っ越してきて、父親は漁師をされていました。主食が魚だったので毎日食べており、それが原因でまずは父親が1959年に発症。その後、家族が次々に発症し、荒木さんご自身も水俣病になりました。大変な思いをして生きてこられた中で、「チッソに対して恨みはないと言えば嘘になるが、いつまでも恨んでいてもしょうがない」と前向きに人生を生きておられた姿に感銘を受けました。

 3日目は地元学の提唱者である吉本哲郎さんに、講話をいただきました。吉本さんは水俣市の元職員で、水俣の地域再生の中心の役割を担った方です。水俣を再生していくに当たり、まずは何が問題なのかを考えたそうです。水俣病の問題の解決とういう答えを導き出すのに、地元の事を徹底的に調べ上げました。そこから分かったのは「水・ゴミ・食べ物」この3つを大切にすることでした。つまり、排水により汚れた海の魚を人間が食べたことによって起きたのが水俣病ならば、それを世界中のどの地域よりも気をつければ水俣は再生できると気がついたのです。それを元に地元学を提唱されましたが、地元学とは地元の豊かさに気づくための手段であり、ないものねだりではなく、あるものを探して行くこと。吉本さんのお言葉をお借りすれば、ここに生きて幸せなことを探す「生活感幸」という表現をしておられました。また、物事を上手く進めるには信用と信頼を最初に作ることだとも教わりました。

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   行政としてはいかにお金を使わずに知恵を絞って汗をかくかという方針には、明社運動にも同じことが言えるのではないかと感じました。講話の中で一番印象に残ったのは「人は言葉では動かない。心が動けば体も動く。」と仰っていたことです。
   
今回は事務局として参加いたしましたが、このようなお話が聴けたことにより明社運動のみならず、自分自身の生き方も深く考えるきっかけになりました。これからは人間関係を大切にして、感動を持って仕事に取り組みたいものだと思いました。

 

                                                  (全国明社事務局 青木秀郎)