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『庭野平和財団主催:地元学研究会・水俣フィールドツアー』参加報告 その3 


10月16日(日)

Dsc_5078_2 朝食を終え、各自散歩などを楽しんだあと、市内の水俣市中央公民館へ移動しました。 
   市長として水俣の再生に尽力された吉井正澄さんのお話を伺うためです。吉井さんは水俣市久木野で林業を営み、1994年の慰霊式で「身近な行政として十分なことができなかった」と市長としてはじめて反省を表した方です。1995年の水俣病政府解決策の立役者です。
 Dsc_5128_2 吉井さんは水俣病の発見から崩壊されてしまった地域・人と人の間のしこりを少しずつ意識改革していこうと、さまざまな取り組みをされていきました。対立していた感情を、道で会ってあいさつできるよう、心の垣根を低くするための努力をしていきました。ゴミの分別(当時で23分別!)や村まるごと博物館、地域環境協定、環境マイスターの設置など、もちろん批判を受けることもありながら貫いてきました。メディアに取り上げられることで、外部から「すごい!」という反応が返ってきたのを感じて、市民たちが取り戻した“誇りと自信”は、なにものにも替えがたい財産になったことと思います。そのさまざまな努力の結果がもやい館でみられる住民のみなさんの笑顔なんだと思います。
 吉井さんのお話で私が一番印象に残っているのは、ヒトの気持ちへのケアです。市役所職員全員を対象に、よりよい街づくりのための案を募集したそうです。たくさんのアイデアが寄せられましたが使えるアイデアとそうでないアイデアがもちろん出てきます。旅行の初日にお話をお聞きした吉本さんのアイデアはほとんど採用されたそうです。しかし、吉井さんがケアされたのはアイデアを採用されなかった方たち。まわりに気が付かれないように市長室に来てもらって、出してくれたアイデアに対して感想や改善点などを話あったんだそうです。そうすることで、「ちゃんと読んでくれている」という安心感・満足感が生まれ、不採用になってもまた次のアイデアを出そうという意欲にもなります。ささやかかもしれないですが、この細やかなケアができる吉井さんだからこそ、複雑な水俣病にまつわる周囲の人間関係の「もやい直し」ができたんだなぁ・・・とつくづく思いました。
 吉井さんのお話をお聞きして、今回の研修会の行程をほぼ終えたことになります。全体を通して印象的だったのは、お話を伺ったみなさんそろいもそろって、明るい!随所にウィットに富んだ冗談を挟み込み、大変興味深くわかりやすくお話をしてくださいました。絶望的な状況を乗り越えてきたという現実を拝見させていただいたからこそ、その柔和な笑顔により深いものを感じました。現地で直接かかわった方からお話を伺えるというのは、本当に勉強になります。本で読むより、インターネットで調べるより、肌で感じることができます。その方のいる空気から伝わるものがあります。
   
さて、一路鹿児島空港へ・・・という前に、じつは吉井さんのお話を伺ったこの公民館のわりと近くに、頭石の栗やゆずを使用したスイーツのお店があったのです!いそいそと「お買いもの行ってもいいですか?」と聞いてみたのですが「時間が~」(T_T)。ざんねん!次に訪れた時のお楽しみにしたいと思います。
 鹿児島空港に着き、昼食をいただき無事東京に戻ってまいりました。いっしょに参加されたみなさんも大変面白いかたが多く、素敵なつながりもできたと思います。今回は本当にとても勉強になり、新しい視点を持ついいチャンスをいただきました。ありがとうございました!!

                       (全国明社理事 松原久美子)