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『庭野平和財団主催:地元学研究会・水俣フィールドツアー』参加報告 その2


10月15日(土)           

朝、あさひ荘から2kmの頭石(かぐめいし)「村丸ごと生活博物館」へ移動。ここでは勝目豊さんが出迎えてくれました。勝目さんは頭石の今後を思案し、市役所に相談に行ったときに吉本さんに会い「村丸ごと生活博物館」構想を知りました。
 
『一人で歩くとなんでもない村です。しかし、村人の案内とみなさんの問いや驚きが加わると、数え切れない生活の知恵や言い伝えなど、今まで隠れていた村の生活文化や物に眠っていた物語が引き出されていきます』
  Dsc_5015_2 本当に、その通り。勝目さんと生活学芸員の遠藤さんに案内されて村をまわると、そこかしこが面白い。たくさんの自然の恩恵のなか、生活の知恵が息づいています。道の脇を流れる側溝のようなとこに沢蟹がいるなんて、私が子供の頃以来見てないです。

Dsc_4977_2 頭石(かぐめいし)という地名も面白いですよね。この地域は平家が落ち延びてたどり着いた場所だと言われています。村の入り口の川の脇に、大きな石の上にさらに大きな石が乗った不思議な光景があります(でもこれも言われなきゃわかんない!)。昔京では頭に商品を乗せて売り歩くことを『かぐめる』と言ったそうです。平家の落人たちは、石の上に石が乗った状態をみて、『石をかぐめる石』と考え「かぐめいし」という地名になったそうな。『頭』『石』という漢字があてられたのはもっと後のことだと思います。というような話を、現地を見ながらそこに住む学芸員さんが教えてくれます。Dsc_4982 本当にびっくりするぐらいたくさんの見どころがありました。頭石で収穫された栗やゆずを、水俣市内のお店がいかしてスイーツを作っているとのこと。これはぜひ旅が終わるまでに口にしたい、、、とひそかな野望を抱きます。
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頭石コミュニティーセンターに戻ってきて、お楽しみの頭石の地元料理をいただきます。煮しめに入っていたこんにゃくは「昨日作ったんですよ。一昨日までは畑にあったんだよ。」と説明してくれます。朝採りの野菜、ワラビや竹の子といった自然の恵み、漬物、水俣川の水で育ったお米、、、どれも本当に美味しかったです。
 
午後は勝目豊さんのお話。「村まるごと生活博物館」をはじめた結果、9年間の活動で「村が元気になった」そうです。以前は家にこもっていたお母さんたちが表に出るようになり、明るくなりました。ちょうどゴハンを召しあがっていたお母さんたちに「9年間の活動で変わったことは?」と聞いたところ、「んー、忙しくなった。」と明快なお返事。あと、家をあけることが多くなった分、旦那さんたちが家のことをお手伝いしてくれるようになったそうです。 今の若者夫婦は旦那さんがお手伝いするのは当たり前になりつつありますが、お母さんたち世代でお手伝いしてくれうようになるってスゴイ!心も体も喜ぶ頭石の滞在でした。
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あさひ荘に戻り、水俣病患者の方のお話を伺います。お話しを伺ったのは荒木洋子さん。昭和8年生まれで、45歳のときから百聞(水俣湾の河口にある町)で生活していたそうです。父親は漁師。今思えば水銀に汚染された魚を日々口にし、それを近所や知り合いにも配っていたそうです。6人兄弟の長女で、下の4人は小さいうちに小児マヒと言われながら亡くなりました。一番下の妹さんは、水俣病専門の病院に入院されていて、しゃべることもままならないそうです。
   
じつは私にとって、水俣病は中学校の公民の教科書に載っていた「過去の公害」という認識しかありませんでした。それが1942年の発見から53年後、1995年というほんの16年前に一応の決着がついたにすぎません。「そういえばニュースでやってた気がする・・・」程度の記憶しかなかった自分に愕然としました。患者の方、ご家族の方、市民の方、チッソに勤める方、市役所の方、チッソの経営に携わる方、国・・・、いろいろが絡み合って断絶しゆがんでしまった日常で生活を続けるというのは、どれほどつらかったでしょうか・・・。
  今でこそ“もやい館(地域再生のためのテーマ「もやい直し」に基づいて作られたコミュニティセンター)”でみんなで歌を歌ったり、ボール遊びをしていますが、「以前はとても考えられなかったこと」と荒木さんはおっしゃいました。道で会っても挨拶をしない、暴言、差別がくりかえされていたそうです。そしてまだその気配が残っているというお話も聞いて、本当にグッサリときました。荒木さんは現在は水俣病患者の立場で相思社の理事をされてます。
 その後は今回来られなくなってしまった草郷先生(関西大学社会学部教授)のレジュメを活用して、「GNHと地元学」というテーマで研修会のまとめ(のようなもの?)をしました。草郷先生のお話しもいつかお聞きしてみたいです。